小さな会社のためのホームページ作成ガイド-その5

戦術としてのツール

目的や目標など、戦略レベルの骨格が決まり、制作を依頼するパートナー(制作業者)も決まったとします。多くの場合、この段階でホームページの構成案とデザイン案の検討に入りますが、まだ早すぎます。ホームページの目的・目標をどうやって達成するか、戦術レベルの計画を先に立てなければ、成功は遠のいてしまうのです。

SEOとリスティング広告

星の数ほどホームページがあふれている現在、集客手段を予め考えておかないと、アクセスはほとんど望めません。

ホームページの集客手段といえば、SEO(検索エンジン最適化)を思い浮かべる人が多いようです。検索エンジンの表示順位を上げることで、流入を増やすという考え方は、いっけん正しいように思えます。しかし、人為的に大量のリンクを張ることで順位を上げる旧来の手法は、検索エンジンからペナルティを受ける可能性が高くなりました。また、予算と手間、時間をかけて、あるキーワードの順位が上がったとしても、そのキーワードには需要がなかったとか、売上につながらないキーワードだったということも起こり得ます。

初期の段階では、リスティング広告(キーワードに対して出稿するクリック課金型広告)の活用を視野に入れましょう。リスティング広告では、クリックされた広告がどれくらい成約に繋がったかをデータで取得することができます。データから「売れるキーワード」を見つけ出し、それからSEOを考えても遅くはありません。

ランディングページの活用

ここでホームページの制作に入ってもよいのですが、限られた予算を有効に使い、失敗を避ける意味で、ランディングページの活用を検討しましょう。ランディングページとは、コンバージョンを獲得することを目的にした1ページ完結型の縦長のページのことです。

1ページだけなので、ホームページ全体をフルリニューアルするよりも低予算で作成できます。そして、内容を変更した時の効果が数値(コンバージョン率)となって表れるので、効率的に改善できます。

ホームページ全体に手を付ける前に、テストとしてランディングページを作成し、ターゲットユーザーやホームページの表現を吟味していきましょう。ランディングページで効果が出たら、そのコンセプトを引き継いで全体を作り替えていけばよいのです。

リニューアルを急ぐべき業種とは?

近年、スマートフォン、タブレット等のスマート端末が急速な勢いで普及しています。一般消費者向けのホームページでは、すでにアクセスの半分以上がスマート端末です。それに合わせて、アクセスしてきた端末に合わせて最適化して表示する「レスポンシブウェブデザイン」(RWD)という手法が一般化しつつあります。RWDでは、1つのページを作れば、PCでもスマートフォンでも見やすいページになります。一般消費者向けのホームページをリニューアルする場合は、ぜひRWDの導入を検討して下さい。BtoB(業者間取引)の場合は、PCからのアクセスが主流なので、まだ焦らなくともよいでしょう。

いますぐ始めたいブログ

重要な集客手段の一つがブログです。TwitterやFacebookでは替えられない、長文で見込み客にしっかりと情報を伝えられるメディアです。一説によると、ブログが集客効果を持ちはじめるのは100記事を超えてから、あるいは200〜300記事からという説もあります。仮に毎日更新したとしても、3か月から半年ぐらいは必要なのです。そうすると、今すぐ始めるのが得策です。

頻繁に更新することで、純粋に読者が増えることが期待できますが、その他にも記事数を増やすメリットがいくつかあります。一つは、ページ数が増えることでSEO効果が期待できること。ホームページ全体のページ数が、検索表示順位に関係するといわれています。そして、記事数が多いほど、様々なキーワードで検索する来訪者が増えていきます(ロングテールSEO)。

もう一つは、書きためた記事を別の形で再利用できることです。例えば、記事をまとめてPDF化し、無料配布することで見込み客のアドレスを収集することができます。小冊子として印刷し、請求してもらうことで氏名や住所まで収集することもできるでしょう。ブログを集客資産としてとらえることで、モチベーションをアップさせましょう。

 メルマガは最強のマーケティングツール

迷惑メールの氾濫と質の低いメールマガジンの乱発により、「メルマガの時代はもう終わった」といわれるようになりました。しかし、ネットで成果を上げている企業の多くは、メルマガを有効に活用しています。一度登録さえしてもらえば、こちらから見込み客にアプローチできる唯一の手段がメルマガなのです。

メルマガの目的は大きく分けて二つ。一つは見込み客を顧客に育てること。商品の情報を継続して届けることで、興味・関心を少しずつ育てていきます。この目的には、場合によってステップメール(あらかじめ指定したメールを1号から順番に届けていく形式)を利用するのもよいでしょう。

もう一つの目的は、既存顧客の流出防止とリピーター化です。単純接触効果(ザイオンス効果)といって、人間には、接触回数が多いほど相手によい感情をもちやすいという心理があります。一度購入してくれても、次も買ってくれるとは限りません。何かの時に「思い出してもらう」ために、アプローチを続ける必要があるのです。

見込み客向けと既存顧客向けのメルマガでは、内容を変えたほうが理想的です。しかし、限られた時間内で複数のメルマガを発行することは、最初のうちは難しいと思います。慣れるまでは1種類だけでかまわないので、ある程度の頻度(例えば週1回)で発行するのが望ましいでしょう。

 ネットマーケティングの黄金パターン

ここまで説明してきたツールを連携することで大きな効果を発揮します。これはネットマーケティングの鉄則ともいえる、ほぼどの業種でも使える黄金パターンです。下記にまとめてみました。

  1. リスティング広告やブログを入り口にして、ランディングページにアクセスを集める
  2. ランディングページでは、無料レポート配布や低価格サンプル商品の販売でメールアドレスを収集することを目的とする
  3. 収集したメールアドレスに商品の情報を継続して届け、興味・関心、購買意欲を育てる
  4. メルマガを通じて本来売りたい商品のランディングページに誘導し、購入してもらう
  5. 引き続きメルマガを配信し、リピート購入を促す

成功している企業の黄金パターンであるにもかかわらず、わずかな手間を惜しんで、これができていない会社が多いのが実状です。ぜひ、成功をめざして取り組んで下さい。