読んだ本:『物を売るバカ』
7月23日に開催された講演会『「モテる会社」の作り方 〜物を売るな、物語を売れ〜』で頂いた、講師の川上徹也さんの著書『物を売るバカ 売れない時代の新しい商品の売り方』の感想です。
物を売るのでなければ何を売るのか? ひとことで言えば商品・サービスの「物語」を売るのだということ。市場が成熟した中では、商品がよいのは当たり前。「価格」「品質」「広告」「流通」意外の要素で売れている会社は、「物語」で商品の「本来の価値」を伝えているということです。
本書では、20世紀初頭のシュリッツビールからOisixの「ピーチかぶ」、大阪の納豆メーカー「小金屋食品」、雪国まいたけの「もやしのきずな」などなど、多数の事例が紹介されています。ビジネス情報を積極的に収集している人であれば、いくつかはすでに知っている事例があるかもしれませんが、新書1冊で多くの事例を読めるのは助かります。また、ストーリー化のノウハウも簡単ではありますが紹介されているので、自社の商品に物語を組み合わせる手助けになるでしょう。
個人的には、「値段を下げると安い商品という意識が影響して、その商品に喜びを感じなくなる」という研究結果が興味深かったです。値段を下げると価値も下がる、安易な安売りは首を絞めるということですね。
よい商品・サービスを扱っている会社に限って、広告・宣伝下手な傾向があるように思います(逆に怪しげな商品を売っているところは宣伝上手)。自信があるからこそ、黙っていても売れるという気持ちがどこかに残っているせいかもしれません。しかし、商品を手にするべきお客さんのところに届かないのはあまりにもったいないことです。商品に自信があるのに、いまひとつお客さんに価値が伝わっていないと悩んでいる人におすすめの本です。