デザインの力
私はもともとはデザイナーなんですけど(その前は美術教員で、学生時代の専攻は絵画)。最近はマーケティングの重要性に気づいて、デザイナー半分、マーケター半分な感じでやっております。
ヒドいデザインのものは売れません。そもそも見向きもされないです。仮に買われたとしても、所有する喜びがないので、長く支持されることはないでしょう。中小企業の商品は、デザインまで意識が回っていないことが多いです。お金もかかりますしね。
いくら言葉を尽くしても、ひと目で訴える力がある商品には叶いません。力のあるデザイナーさんが力を貸して、地方の中小企業の商品を、デザインリニューアルするプロジェクトをたまに見かけます。そのこと自体は歓迎すべきことだと思います。商品はいいのに、見た目が残念なことが多いですから。
ただ、見た目が美しいとか格好良ければ売れるかというとそうでもないんですね。商品本来の価値と、デザインの方向性がずれていたら、やっぱり売れない。デザイナー(とそれにGoサインを出した人)の価値観と、商品を購入するお客さんの価値観がずれていたら、それも売れません。
例えば米国のペプシ・コーラは大金を使ってデザインをリニューアルしました。結果として、売り上げが大きく落ち込んだので、すぐに元に戻しました。吹っ飛んだお金は億単位で済むのかなあ…。最近だと、森永の「ウイダーinゼリー」がデザイン(とコンセプト)のリニューアルに失敗して、再リニューアルしてますね。かっこよかったんだけど、売れるデザインではなかった。
マーケティング戦略の中で、デザインをどう位置づけるのか。武器にもなるし、足を引っ張ることもあります。デザインの意識を高めることはたいせつ。ただし、格好良くすればいいってものではないことを忘れずに。