読んだ本:『USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則』

2014.04.17

マーケティング関連の本を読んでいるとよく出てくる「USP(Unique Selling Proposition)」。ウェブ制作業者のサイトで見かけることもありますし、私自身もお客様との会話の中で使うこともあります(稀にですが)。

直訳すれば「独自な売りの提案」。とてもわかりやすい概念のように思えます。この言葉が日本で広く知られるようになったのは、おそらく神田昌典『小予算で優良顧客をつかむ方法』がきっかけではないでしょうか。もしかしたらダン・ケネディやジェイ・エイブラハムのような著名マーケターの著作からかもしれません。が、USPのオリジナルは彼らではありません。この本を読もうと思った理由が、監訳者あとがきにずばり書いてあったので引用します。

 ただしUSPにも難点はある。不変の原則ではあるが、その骨子がシンプルであるがゆえに、言葉だけが一人歩きして、往々にして一面的な捉え方をされてしまいがちなのだ。これを避けて、本来の力を理解し、実践に結びつけるには、原点に戻る——すなわち提唱者の本にあたるのが一番である。
(USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則、ロッサー・リーブス、海と月社、2012年、p212)

実際のところ、リーブスがオリジナルというわけでもなく「1940年代初めに、テッド・ベイツ&カンパニーで考案された理論」であり、この本が書かれた1961年の時点ですでに「USPは広告界でもっとも誤用されている略語のひとつ」だったと。だからこそ、USPをきちんと体系づけて理論化したのがリーブスであり、この本である、と理解しました。

さて、孫引きのような形で日本に広まった「USP」は、果たして「誤用」されているのでしょうか?『REALITY IN ADVERTISING』という原題のこの本の中で、USPについて3分の2ほどが費やされています。リーブスの考える「USP」は数ページで説明できるものではない、と言えそうです。少なくとも自分は、浅い理解でいたことを実感しました。

50年以上前に書かれた本ですが、取り上げられている一部の事例を除けば、いま読んでも全く古くさくは感じませんでした。世界中で読み継がれているのも当然というか、インターネットが普及した今こそ読むべき本かもしれません。「USP」について考えたことのある人にはおすすめです。