読んだ本:『リーン・スタートアップ』

2014.02.16

最近、IT業界で「グロースハック」(growth hack)という言葉をよく目にするようになりました。特にシリコンバレーのベンチャーやスタートアップにおいて、プロダクトの「成長をハックする」ことと考えてよさそうですが、いまいちピンとこない。が、『リーン・スタートアップ』を読んで、「ああ、これがグロースハッカーの仕事か」と理解できたような気がします。

著者のエリック・リースは、自らベンチャーで成功を収めただけでなく、多数のスタートアップ企業に関わっています。その経験から、実例をまじえながらスタートアップが成長するための方法を説いていきます。「lean」とは、贅肉のない引き締まった様子。トヨタの生産方法に影響を受けた「リーン生産方式」をベースとしています。ただし、「生産」よりも「マネジメント」に、「製品」より「組織」に重きを置いた内容だと思います。

特に興味深かった点を一つ挙げると、これも最近よく目にする「MVP」(Minimum Viable Product=実用最小限の製品)の部分。最初から完璧を目指すのではなく、MVPでリリースし、検証と改善のサイクルを小さく、早く行うという考え方。この思想は広く応用できそうですし、自分のWeb制作の仕事にも関わってくる話です。

考え方や実践方法自体は全ての業種に応用できるはずですが、残念ながらIT系の事例にやや偏っています。ソフトウェア開発関連の用語が注釈なしに多用されていますので、他業種の人には読みにくいかもしれません。その点を除けば、読んで損はないと思います。