読んだ本:『WebクリエイターのためのWebマーケティング』

2014.01.27

ウェブ関連の本を大きめの書店で探すと、たいがい2つの場所に置かれています。ひとつはIT系書籍のウェブコーナー。ウェブ制作者の方ならよくご存じかと思います。もうひとつはビジネス系書籍のマーケティングコーナー。こっちを見る制作者は、たぶん少数派ではないでしょうか。

おそらく、我々のお客様=クライアントの情報源は、IT系のウェブ本よりもビジネス系の本が多いのではないかと想像します。クライアントのニーズを知り、共通の認識で話すことが大事なので、こういうWebマーケティング関連の本も目を通してみるとよいと思います。ちなみに、「集客」や「売り上げ」を謳ったビジネス系のウェブ本では、われわれウェブ制作業者の評判はわりとさんざんです。大半のウェブ制作業者はマーケティング音痴だと。

そんなわけで、今回紹介する本は『WebクリエイターのためのWebマーケティング』。副題に「クライアントに喜ばれるWeb制作の手引き」とありますが、裏を返せば「今まで喜ばれる制作をしてなかったでしょ?」とも読めます。

序章の「Webマーケティングに詳しいWebクリエイターになろう」の会話風ページから一部引用してみます。

少し前までは、クオリティの高いWebを作れば喜ばれていたんですけど、最近不況のせいか、お客さんが「売れるWebサイトを作るにはどうしたらいいんだろう」ってよく聞いてくるんです。

(中略)

これからは、Web制作者もお客さんの売上にしっかりつなげることができないと、自然に淘汰される時代になるよ。

(WebクリエイターのためのWebマーケティング、山田案稜、ソシム、2013年、p12-13)

淘汰されない制作者になるためにはどんな知識が必要か?ということで、Webマーケティングの基礎的な項目について説明しているのがこの本です。取り上げられているのは、SEO、Web広告、ソーシャルマーケティング、スマートフォンマーケティング、実店舗Webマーケティング、アクセス解析。深いところまで言及はされていませんが、基礎を網羅しているといえそうです。

すでに実務でWebマーケティングに関わっている人には物足りないかもしれません。デザイナーやエンジニアは、プロとして最低限知っておかなければならない知識のチェックリストとして使えると思います。そもそも、岩手県内では完全分業制が成り立つほど大規模な制作業者は少ないので、職分がクロスオーバーしているところが殆どだと思います。そうすると、「Webマーケティングなんて自分には関係ない」なんて言っていられないはず。

IT系書籍が得意なソシムから発行されているので、ウェブ制作系の書棚に並んでいるようです。この機会に手に取って、ぱらぱらめくってみてもいいのでは。